クロヤツシロラン
今年はクロヤツシロランの袋掛け。 前年度群生果実期状況 追加報告 09年度訪花昆虫の追跡
☆クロヤツシロランは現地林でプロトコーを発生させた。
☆クロヤツシロランは5月に開花した。
☆クロヤツシロランの終結編をスライドショーで観る。
先ずは、はじめに
クロヤツシロランは実に不思議な植物である。果実より開花を先に見ることは先ず出来ない。果実を発見しそれから一年経ってようや
く開花を見ることが出来る。それに倒木をカチ割って生え花を咲かせる事も出来る凄い能力を持っていてその姿はまさに神秘的である
なぜ、ナゼ、どうして、普通の植物の様に林床に生えたり、それでなけれは木にぶら下がって咲けばいいのに、なぜ倒木内部に進する
ことが出来るのか。どんな生活態系を持つのか林床に座してヤマビルや藪蚊に悩まされながらその謎に迫った山男の記録である。画像
では何もわからないので、この腐生ランについて今回の観察で分かった事などをまとめて見たいと思います。この花は落ち葉堆積した
中又は下で咲き、落ち葉の色をして、おまけに下向きに咲くので誰かに教えてもらわないと最初は全く発見出来ない。採らずして花
を撮るには穴を掘るかしかない。倒木をかちわって生えたこの固体を発見した時には一年後の花期にはかならず撮りたいと思った。そ
の間一年間山に通って養生を続けた観察である。地下部の観察はあまり世に知られていないが、成長が休眠したかに見えたのは3月の
一ヶ月のみでしかも凍てつく丹沢の山中でである。九月中頃から咲き始めるが林床に繁殖しいる共生菌の多少によって生育に大差が出
るので花期は長い。花そのものは開花して四日目には受粉して萎むが、それからがこの野生ランの面白い現象が発揮するので受粉は花
粉媒介昆虫によって確実になされる事が分かった。花粉媒介昆虫は蚊より小さく羽音もしない。薄暗いと全く見えないのだ。これまで
受粉様式が分かっていなかったのもこの精かも知れない。花径は一センチと虫メガネ持参でなければ生態を見ることは不可能である。
この花の中央部には溜部があって常にかすかな臭いを放っているので一花に二、三匹の媒介者が常に忙しく働いている。花内の溜部に
卵も産み付け、最後にクロヤツシロランはこの花粉媒介昆虫の背中に花粉を確実に付ける事を忘れない。自然に種子から発芽出来ない
のならこの一連の営みはクロヤツシロランにしては無意味なはずである。しか無意味ではない事が自然界の営みの中にはあった。生息
地での腐生ランのブロトコーム期の過ぎた発芽の発見であった。初めて見る光景にわれながら目を疑ったのである。このページを開
設したのもこの一念に尽きるのでその全てを公開したいと思っております。2009年度「現地播種実験によってプロトコームの発生
も確認した。又クロヤツシロランの種子を菌培地に播種した結果、野菜の発芽のごとく(爆笑)18日間でプロトコームの発生を
見た。其の後現地観察やペットポトル内での開花や発芽の実験等々をくり返すうちにショウジョウバエがはたして受粉に関係すか
問疑も出てきたり、興味津々である。観察が進むにつれ頭書に述べた事と多少の変化がある事をお詫びします。今後とも時々ご訪問下さ
い。 ホーム クロヤツシロランはラン科のオニノヤガラ属