2016年度のアキザキヤツシロランの直播きの実験は複雑な環境のもと展開した。

種子は静岡産         
培地は高知県及び神奈川県
播種地は神奈川県      
(2015-11-5直播)

手始めにクロヤツシロランの直播の実験と観察を数年間続けて来た。その後当然の様に
アキザキヤツシロランも仲間入りした。結果は両方とも短期間に季節に関係なく発芽し開
花に至った。これは同じ実験ボックスで同じ培地を使用した。同じ培地での開花である。 

疑問と期待の日々である。巷で騒がれる腐生ランの直播きである。最近では色々と研究

が進み慣れ親しんで来た腐生ランの呼称を菌従属栄養生ラン又は菌寄生ランと改める事
が求められているがここでは以下
腐生ランと記すことにします。                

そんな訳で2016年度後半は開花までの日数に手こずったが時節がらの秋口になって終
いました。ここ俄かに新芽がニョキニョキと上がって来たので正常に開花に至るのか、記
録を続けたいと思っております。


全体図

                       
余談@腐生ランを咲かせて見たいと思うなら、やっぱりクロヤツシロランから始めるのが手っ取り早いでしょうか。  
腐生ランは難しいという先入観があるので、手が出ない、出すべきでは無いと云われている。しかしこれは誤った考えだ。
好きならやって見るべきだ、菌に頼る植物なので菌の勉強もしなければならないなどと考えるから何も出来ない事になる。

普通の草花やラン科植物、みな同じである。二三年に一度は鉢土を替えたり、コンポストを新しいものに入れ替えたりしてい
る筈である。誰もがいちいち共生菌の事など考えている訳ではないはずだ。それでは何処が違うのかということになる。   

腐生ランの場合は、自分が自由に観察出来るフィールドがなければならない。此れが無いと無いものねだりなので論外と言う
ことだ。腐生ランのコンポストを替えるには庭土や畑の土を入れても役に立たない事は誰でも判る。自生するフィールドのコン
ポスト、この中にはその共生菌が必ずある筈だ。もっと言うならば自生する間際のものが良い訳である。此れが最低の条件
となる。後は発芽する環境を考えれば良い。野生で発芽しないから何時まで経っても絶滅危惧種的存在である。しかし逆に
人工的に環境を作って、当たれば
ゾクッと発芽することが分かった。 自然環境の林床ではラン科植物の発芽は難しい
と云いる。有史以来このようにぞっくと発芽していたならば手に負いない雑草となったに違いない。                

しかし自然は
腐生ラン共生菌なるものを得ない限りその繁殖は永久に絶滅危惧種の枠を外すことはない掟を与えた。
  
何故に普通のラン科植物の様に葉が無いのか、なのでこの生態系を菌従属栄養生に進化したと云う事らしい。葉が無くとも相性
の良い菌類があれば生態系は維持できる、この菌を共生菌というらしい、腐生ランには又、二者共生、三者共生の生態系を持つ
ものがあるので単純に腐生ランと呼ぶのは違和感があるので研究者は啓蒙を怠らない。
当然ながら後世には真実を伝えなけ
ればならないので当然のことである。

葉が無いから光合成をする必要がない。当然日光も必要としない。ならば室内や
暗室でも栽培実験は。出来ないかである。これで第
一段階の環境作りは何んとなく分かったつもりである
@Aにつづく


左図から全体図の1,2,3の個体図の順序になります。来週中には開花するでしょうか。
昨年に続き今回も開花寸前から
インタ−バル動画撮影を考えております、ご期待下さい。





黄味掛かってクロヤツシロラン見たいですが〜。種子を違えて播いたり混入したりは時たまありますから。花柄、花序が伸びるまで後一週間は掛かるかな。4,5番の個
体は細くて小さいので順次添付となります。

   
観察ボックスに生えているきのこは成菌になりました。間も無く朽ちて倒れます。アミスギタケを調べて見ましたら
"サルノコシカケ科 タマチョレイタケ属 "とありましたが同定は如何に?!。ヤツシロランと共生菌は切り離せないの
で添付しました。種子を播いて11ケ月になりますが一貫して発生してきますので興味津々です。

  余談A腐生ランのフィールドを持たない、何もないご人は、それでは如何するか、世の中には誰もやらないから挑戦して
   みたいと云う有志は一杯いる筈だ。開設者もその一人だが、Web界はそんな向きには最高の出会いだ。お互い通じ合
   いギブ&ティ−クの心を持って接すれば思わぬ展開がです。ギブ&ティ−クと云いば腐生ラン(ヤツシロラン)は一方的に
   共生菌を餌食にしていて腐生ランは見返りをしないという、共生の精神に反しているがこれはDNA遺伝子検査て゛不動
        である。此れまで色々と腐生ラン発芽を段階的に撮ってきた。そこで思うのである。
    
   この画像はクロヤツシロランが発芽してプロトコ−ムを形成して両側に根状器官()を延ばした姿である。このプロトコ−ム後
   には真下に突起物が
必ず生えてくる、
下図をご覧ください。この突起物の周りにはもやもやとしたものが上から下に向かって
  伸びている。もしこれが種子の段階で菌が宿っていたとは考えられないでしょうか。又腐生ランが発芽初期に菌が好む成分
   を分泌してその成分
が呼び水となって培地の菌糸を誘引し、これを糧にするならばギブ&ティ−クの精神は成立しないでしょ
  うか。DNA検査も良いが実際に腐生ランの地下部を見ること滅多に出来ないが誰もやらない事をやることは疑問と期待
に包まれた世界だ
ABにつづく

  



開花
3 2016-10-10 と う と う 開 花

昨年の開花は一株だった、今回は五株立ち上げた。腐生ランのお付き合いは咲くまで何が咲くか不安で
たまらない、安心した。正真正銘のアキザキヤツシロランだ、ありがとう。
前年度は神奈川産のクロヤツシ
ロランの菌床(培地)
で静岡産のアキザキヤツシロランの種子を直播
きして咲いた。今年は高知産のハル
ザキが咲く菌床(培地)に同じく
静岡産のアキザキが咲いた。
勿論クロヤツシロランも開花する。そして何ん
と、とうとう咲いたアキザキヤツシロランの傍らには
ハルザキヤツシロランの塊茎が生長しているのだ。そ
れが下記画像である。

この実生の塊茎は
神奈川産のクロヤツシロランが咲く菌床(培地)で発芽したが不調の為本培地に移植
した。塊茎の先端が乳色なのは調子の良い証拠だ。どれもこれも古里を離れ当地の菌床で一年足らず
の月日で開花する腐生ラン。


なんと変り花か?五株中二株も、果たしてどんな花が咲くでしょうか。キ(奇)ザキヤツシロラン
今回は大変な人工の環境のもとで開花したので培地によるものなのか、病気による為か、進化
の途中なのか、面白くなって来た。このヤツシロラン類は近年新種が続々発見されているので
納得だが、上手く咲いてくれるでしょうか。この個体は他の三個体の半分のサイズで極小。実生
からの育てる
醍醐味だ。奇形花では耳障りが悪いので変わり花では如何でしょうか。つづく   

開花2



開花5

4、5番は極小で、肉眼でははっきりしない。:顕微鏡モ−ドのデジカメで撮った画像、これ以上は望めないので開花と判断。
恐ろしく不格好な花姿である。此れまでの体験ではヤツシロランは自家受粉するので期待したいが、米粒程の大きさだ。

花姿4

これは何でしょうか、これ以上進展なし、待ち針とほぼ同じ草丈約3cm。これもヤツシロラン、本来なら未熟の実生は開花
しないで終るが、極小のヤツシロランなど聞いたことありませんが。

開花1

3ケ月も前から花茎を立ち上げ開花間もないと気を揉ました1番花が何んと最後の開花となりました。しかもこの1番花は未だにつぼみの
儘である。後から上がったつぼみが先に咲きました。
その理由を考えてみました。地下の塊茎を観察するために露出した状態でしたのでその精かも
知れないとおもっている。他の4個の塊茎は完全に埋没していた為、急に花茎立ち上げて来たので思わぬ事態となりました。今後の
課題発見となりました。     
余談Bはこの次余裕が出来たら発表したいと思っております。                                                   

静岡のSさん、徳島のHさんご協力本当に有難う御座いました。この記録がご参考になれば開設者として大変に嬉しく思います。
                                                     

完全開花の花姿

2016度アキザキヤツシロランは種子は静岡産、培地は高知産、開花場所は神奈川と複雑な環境での
実験開花でした。複雑な環境で開花させる事は、その生態系に一歩近づけると常に思っている。
2016-10-17

開花後の
追跡事項(開花1)

開花1の蕾a
はとうとう開花せずに終わりました。ところが上図、自家受粉の気配である。bは3日前
 自信はないが人工授粉を試みた。どちらにせよ、授粉が成功するとヤツシロラン独特の
タ−ル状にな
 る事から判断すると
a受粉成功の様だが如何か。だとすると開花せずに受粉成立?したわけだ、開設
者は同時進行添付を信条としているので恥をしのんで進行中。クロヤツシロランの人工授粉での種子
の採り播きは何回も実施しているがアキザキヤツシロランの授粉は初めてなので不安である。    

ヤツシロランは授粉作業をして3〜4日目が可否の分かれめなのでその前に記録しないと自信無い証
拠だ(笑) はい!。

    

   自家受粉、人工授粉共に成功した様だ、
特筆すべきはaが開花せずに自家受粉してしまった事です。
  この様にヤツシロランは自然に自家受粉もし、場合によっては閉鎖化の状態でも受粉する事が実生
   実験の結果判明した。間も無く花柄が伸び始める筈であります。しかし狭いボックスの限られた環境で
    30cmも伸びることが出来るでしょうか。今後、全てが未知の記録となるので不安と期待が交差する。  


花柄が伸長始めました。タ−ル状に黒くなった花殻はやがて子房に吸収されるか又は萎んで姿
を消すが、どちらなのかは未だ判らない。本来なら植物は花が終わると散って花殻を落とす。  
しかしヤツシロランは花殻を落とさなぃ、
黒く変色してべットリしたタ−ル状になる。この動作は柱
頭付近に付着したゴミその他、小虫等々全てを巻き込んで終う。この動作は
残った花粉をも閉じ
込めるのではないかと想像すると
自動受粉の形態が浮かぶのは当然だ。             

 長々と余談になって終ったがこれで花柄の生長は確認できた、がしかしまだまだ安心は出来ない。
果実が縦割れして終うと一貫の終わりだ、実らずシイナ状態となる。 けれどもここまで成長して実
った姿を見ることは奇跡に近い。塊茎に力が無いと花柄はポロポロ落ちてしまうからだ、菌々様の
力を否が応でも痛感する時が来た。                                     
                  

生長が止まった!,失敗か?。

残念ながら種子〜種子の一サイクルは出来なかった。花柄が伸びないのでこれをもって結実不成立と判断し花茎
カットすることにしました。完結となりました。有難うございました。


しかし又、再始動始めました
果たして例の如く花茎立ち上げとなるか、記録したいと思います。

2016-12-10


2016-12-19




年中休みなしの連続新芽成長である。

右図は別塊茎で、此方も新芽出始めました。その他芽吹き塊茎が2、3出ておりますので今年度も期待が
持てそうです。順次添付したいと思います。


それぞれ新芽動気配あり


上段左図と
右図に同じ生長度、塊茎の表面に根状菌糸束と思われる網状模様が見える。両者花茎立ち
上げ候補。前期開花した
5株のうち3株の新芽確認中。再度奇形が確認されれば固定花と思われる。  
   近年野生のヤツシロラン類は新種がよく発見される。全て実生からの突然変異と思われるので直播きは   
に面白い、変種作出の確立は自然よりはるかに多いと思われる。
つづく

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